ビットコインが8.5万ドル前後で推移、関心も上昇

暗号資産市場では、ビットコイン（BTC）が1BTCあたり84,830ドルで取引されており、前日比ではおよそ0.67％の上昇となりました。こうしたなか、複数の専門家は現在の価格帯が技術的にも心理的にも重要な局面にあると指摘しています。

トレーダーのDaan Crypto Trades氏は、ビットコインが長期の下降トレンドラインおよび200日指数移動平均線（現在87,849ドル付近）に差し掛かっており、これらを明確に突破するかどうかが今後の動きを左右すると分析しています。過去にもこの価格帯は強い抵抗として機能してきた経緯があり、同氏は価格が90,000ドルを超えた場合、再び以前のレンジへと戻る可能性があると見ています。

一方、株式市場にも影響を与えるマクロ経済要因として、著名投資家スティーブ・アイズマン氏の発言が注目されています。同氏はトランプ政権による不透明感が高まっていることから、保有資産のリスクを抑える対応を取ったと述べています。アイズマン氏は2008年の金融危機を事前に予見し、住宅ローン市場の崩壊を的中させた実績を持つ人物であり、その見解には市場関係者も耳を傾けています。

アイズマン氏は、米政権の外交政策や市場への影響が複雑化しているとし、当面は高いボラティリティが続くとの見通しを示しました。中長期的にはNVIDIAやアポロ・グローバル・マネジメントといった企業のファンダメンタルズを高く評価していますが、短期的な市場動向については「予測不能」とのスタンスを明らかにしています。

さらに、ビットコインの先物市場の動向にも注目が集まっています。分析会社CryptoQuantに所属するAmr Taha氏によれば、CMEにおける資産運用会社のビットコインに対するロングポジションは、2024年後半におよそ60億ドルに達した後、最近では約25億ドルへと大幅に縮小されました。これは、価格の上昇による利益確定やリスク回避の動きが影響していると見られています。

その一方で、個人投資家や中小規模の機関投資家などが含まれる「その他」カテゴリーでは、ロングポジションの増加が顕著となっており、総額はおよそ15億ドルに達し、過去1年以上で最も高い水準を記録しています。こうしたデータは、価格の方向性に対する投資家の意欲や市場参加者の構成に変化が生じている可能性を示唆しています。

また、投資家の関心の高まりを示す指標として、The BlockがまとめたGoogle検索データが注目されました。2025年3月における「ビットコイン」の検索ボリュームは前月比で26％上昇し、スコアは34ポイントに達しています。これは2024年11月以降の減少傾向に歯止めがかかった形となり、年初来で最も高い数値を記録しています。

この検索増加の背景には、アメリカ政府による新たな関税発表など、地政学的なリスクの台頭があります。これにより、ビットコインが短期的に激しく変動したほか、インフレや通貨不安に対する「デジタルゴールド」としての役割にも再び関心が集まったと分析されています。

特に、4月2日の関税関連の発表以降、ビットコインとS&P500の相対比が8％以上上昇していることからも、その傾向が裏付けられています。ただし、同時期に金（ゴールド）とビットコインの比率も約8％上昇していることから、依然として金が価値保存資産としての優位性を保っていることも明らかになりました。

総じて、個人投資家の関心が2025年に入り緩やかに回復してきている状況がうかがえます。まだ過去のピーク水準には及ばないものの、市場に対する注目度が再び高まりつつあることは、今後の動向を占ううえで重要なポイントとなりそうです。

（参考）重要局面のビットコイン85000ドル付近を維持、3月の関心指数は増加