イギリス財務省、DLT技術でデジタル国債の試験運用を発表

イギリス財務省は11月14日、分散型台帳技術（DLT）を活用したデジタルギルト証券の試験運用を行うことを発表しました。ギルト証券とは、イギリスが発行する国債のことで、DLT技術の採用により、取引の透明性や効率性を高める狙いがあります。労働党は7月に政権を獲得して以来、暗号資産に関する具体的な計画を示していませんでしたが、今回の発表は企業に対し、金融分野での革新を進める意欲を示すものです。

財務大臣レイチェル・リーブス氏は、同日行われたマンションハウス・スピーチで、金融サービスの規制を抜本的に見直す意向を表明しました。リーブス氏は、資本市場やフィンテック、持続可能なファイナンス、資産管理・ホールセールサービス、保険・再保険の5分野における成長戦略を提示し、イギリスの金融サービスの競争力を強化することを目指すと述べています。

今回のDLT技術導入について、財務省は「金融サービス分野におけるイノベーションを促進し、デジタルギルト証券の導入を通じてその実現を目指す」と強調しました。DLTは、複数のノードがデータの更新と保持を行う技術であり、暗号資産の基盤としても広く利用されています。さらに、財務省の経済長官チューリップ・シディク氏は、暗号資産関連の政策についても近く発表予定としています。ブルームバーグの報道によれば、労働党は、保守党政権時代に検討されていたステーブルコインやステーキングに関する法案を引き継ぐ可能性があるとのことです。

今回の発表は、イギリス政府がフィンテックの進展を通じて、国際競争力を高める狙いを持っていることを示しています。デジタル国債の試験運用はその一環であり、分散型台帳技術の活用が今後の金融市場に与える影響にも注目が集まっています。

（参考）イギリス財務省、分散型台帳技術を使用したデジタル国債の試験運用を計画