ビットコイン急騰、ショート清算が相場を押上げ

暗号資産市場では、ビットコインの価格が前日比5%以上の上昇となり、92,000ドル台に達しました。価格の上昇とともに、アルトコインの多くも同様に値上がりしており、投資家のリスク許容度が改善していることがうかがえます。

特に注目されたのは、仮想通貨先物市場におけるショートポジションの大規模な清算です。トランプ前大統領による関税発言などをきっかけに形成されていた5億ドル以上の売り建てポジションが、相場の上昇によって強制的に解消される形となり、価格の押し上げ要因となりました。このショートスクイーズは、2025年3月2日に次ぐ今年2番目の規模とされています。

また、最近のビットコインは、従来のように米国株式市場との連動性を強く示す動きから変化が見られています。専門家の間では、米中貿易摩擦による不確実性の高まりにより、中国資本が金や仮想通貨といった代替資産に向かっているとの見方もあります。

加えて、米国の金融政策をめぐる動向も市場に影響を与えました。パウエルFRB議長の進退に関する報道や、トランプ氏の利下げ要求によって、中央銀行の独立性を巡る懸念が広がりました。これがドル安を招き、相対的にビットコインの価格が上昇する一因となっています。

一方で、ビットコインETF市場にも回復の兆しが見え始めています。4月中旬には一時的な資金流出があったものの、直後には数億ドル規模の資金が流入し、再び投資家の関心が高まりつつある状況です。特にイースター休暇明けの21日には、ETFに約3億8,000万ドルという大口資金が流入し、価格上昇を後押ししました。

こうした中で、市場関係者が注目しているのが、仮想通貨に対して好意的な姿勢を見せる米SECのアトキンス新委員長の動向です。72件にのぼる仮想通貨ETFの審査が進行中であることが明らかにされ、規制面での整備が進む可能性が市場の安心感を高めています。

今回のビットコイン上昇は、金融市場の地政学的要因や政策の不確実性といった外部環境と密接に関係しており、今後も動向には注視が必要です。価格の上昇が一時的な現象にとどまるのか、それとも新たな上昇トレンドの始まりとなるのか、引き続き注目が集まっています。

（参考）ビットコイン9万ドル台回復、今年最大規模のショートスクイーズ発生