イザカヤ編集部
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2024.12.28
仮想通貨
仮想通貨が広く注目されるようになる一方で、その安全性についての関心も高まっています。中でも、2018年に発生したコインチェックの流出事件は、多くの人々に仮想通貨のリスクを認識させるきっかけとなりました。この事件では巨額の仮想通貨がハッキングによって盗まれ、取引所のセキュリティ体制や管理方法が問われました。本記事では、コインチェック流出事件の概要や原因について詳しく解説するとともに、同様の被害を防ぐために取引所や個人がどのような対策を講じるべきかについても説明します。仮想通貨を安心して利用するための知識を深める助けとなれば幸いです。
まずは、コインチェック流出事件の概要について解説していきます。
コインチェックとは?
流出事件が起きた日時と被害規模
流出した仮想通貨「NEM」とその特徴
いったいなぜ、コインチェックは流出事件が起きたのでしょうか。
コインチェックは、日本国内で広く利用されている仮想通貨取引所の1つです。2014年に設立され、仮想通貨の売買だけでなく、ウォレットサービスやさまざまな仮想通貨関連のサービスを提供してきました。特に初心者でも扱いやすいインターフェースや、豊富な取引ペアを提供していたことから、多くのユーザーに支持されていました。
同取引所は、顧客資産を取り扱う中でセキュリティ強化にも注力していましたが、2018年1月に発生した大規模な流出事件により、その名は世間に広く知られることとなりました。この事件では、コインチェックが取り扱っていた仮想通貨「NEM(ネム)」が大量に流出したことで、仮想通貨取引所におけるセキュリティの重要性が改めて認識されることとなりました。
コインチェックの流出事件は、2018年1月26日に発覚しました。この日、同取引所はシステム障害を受け、調査が始まりました。数時間後、取引所は公式に仮想通貨「NEM」の不正送金が発生したことを発表しました。
流出したNEMは、約580億円相当に達するとされ、これは当時、史上最大規模の仮想通貨流出事件として大きな話題となりました。顧客の資産は全てコインチェックが保管していたウォレットに格納されており、セキュリティが突破されたことによってこの膨大な額が盗まれました。事件が公表された後、コインチェックは顧客に対して損失補填を行うことを表明しましたが、この事件は仮想通貨業界全体に対して強い衝撃を与えました。
流出した「NEM(ネム)」は、仮想通貨の一種であり、特に日本を中心に注目されていたデジタル通貨です。NEMは、他の多くの仮想通貨とは異なる特徴的なアルゴリズム「Proof of Importance(PoI)」を採用しており、トランザクションの承認にはユーザーの取引履歴や活動量が影響します。
流出事件の際には、コインチェックが保管していたNEMが大量に不正に移動されたことが確認され、その後もNEMの取引所での取り扱いや価値に影響を与える事態となりました。
次に、流出事件の原因とその背景について解説していきます。
セキュリティ対策の不備とは?
マルチシグ導入の遅れとそのリスク
内部管理体制の課題
それぞれ解説していきます。
コインチェック流出事件の根本的な原因の一つは、セキュリティ対策の不備でした。特に、コインチェックが運用していた「ホットウォレット」にセキュリティの脆弱性があったことが、今回の事件を引き起こす要因となりました。ホットウォレットは、インターネットに接続されているため、外部からの攻撃に対して脆弱です。このウォレットは、取引所の利便性を高めるために常にオンラインで稼働しており、そのため流出を防ぐためには厳重なセキュリティ対策が求められます。
コインチェックは流出発覚前に、ホットウォレットに対するセキュリティ監視を十分に強化していなかったことが指摘されていました。この事件をきっかけに、仮想通貨業界全体でウォレット管理の重要性が再認識され、オフラインで管理される「コールドウォレット」の利用が推奨されるようになりました。
マルチシグ(Multi-Signature)とは、仮想通貨の取引を実行する際に複数の署名を求める技術で、セキュリティを強化するために導入されます。コインチェックは、流出事件当時、マルチシグを導入していませんでした。マルチシグが導入されていれば、1つの署名だけで取引が行われることを防ぎ、複数の署名を必要とするため、ハッカーが取引を実行することは非常に難しくなります。
このセキュリティ機能の不備が、ハッキングの対象となり、結果としてNEMが流出することになりました。マルチシグが導入されていれば、同様の攻撃が発生していた場合でも、取引がブロックされ、顧客の資産を守ることができた可能性が高いとされています。コインチェックは事件後にマルチシグの導入を急ぐこととなり、他の取引所もその重要性を再認識しました。
コインチェックの流出事件は、内部管理体制に問題があったことも一因とされています。流出が発覚するまで、社内のセキュリティに対する認識が不足していたとされ、特に管理部門と技術部門の連携不足が指摘されています。社員のアクセス権限やシステム監視体制に甘さがあり、不正なアクセスを発見するのが遅れたことが、被害拡大の一因となりました。
事件後、コインチェックは内部体制の見直しを行い、セキュリティ監視体制の強化や社員教育の徹底などを行いました。また、外部のセキュリティ専門家との連携を深めることにより、再発防止策を講じました。このような内部管理体制の強化は、取引所にとって非常に重要な課題であり、他の取引所も同様の問題を防ぐために取り組みを強化することとなりました。
ここからは、ハッキング被害を抑える方法について解説していきます。
安全性の高いウォレットを選ぶ
2段階認証の活用
複雑で強力なパスワードを設定する
複数の取引所を利用する
第三者に秘密鍵を知られないようにする
ハッキング被害を減らすためにも、ぜひ上記を試してみましょう。
仮想通貨を保管する際のウォレット選びは、そのセキュリティを確保するために非常に重要です。ウォレットには大きく分けて「ホットウォレット」と「コールドウォレット」の2種類があります。ホットウォレットはオンラインに接続されており、利便性が高いですが、外部からの攻撃に対して脆弱性があるため、セキュリティが十分でないと流出リスクが高まります。
一方、コールドウォレットはインターネットに接続されていないため、ハッキングによるリスクが大幅に減少します。仮想通貨を長期保管する場合は、コールドウォレットを使用することが推奨されます。また、ハードウェアウォレットやペーパーウォレットなど、セキュリティを高めるための方法もあります。どのウォレットを選ぶにしても、そのセキュリティが十分であることを確認することが大切です。
取引所にログインする際には、2段階認証(2FA)を設定することが重要です。2段階認証は、ユーザーがログインする際にパスワードに加えて、スマートフォンに送信される認証コードを入力することで、セキュリティを強化します。これにより、パスワードだけではアクセスできないため、万が一パスワードが漏洩しても、不正アクセスを防ぐことができます。
特に、取引所に大量の仮想通貨を保管している場合や、頻繁に取引を行う場合は、2段階認証を必ず設定することをおすすめします。2段階認証は、Google AuthenticatorやAuthyなどのアプリを使って設定することができ、非常に効果的なセキュリティ対策となります。
パスワードは、アカウントのセキュリティの基本です。簡単なパスワードや使い回しのパスワードはハッキングのリスクを高めます。取引所のアカウントにアクセスするためには、長くて複雑なパスワードを設定することが重要です。理想的なパスワードは、英字・数字・記号を組み合わせた12文字以上のものです。
また、異なるアカウントごとに異なるパスワードを使用し、パスワード管理ツールを使って安全に管理することをおすすめします。これにより、複数の取引所やサービスのパスワードを忘れることなく、管理することができます。
取引所を1つに絞ることは便利ですが、リスク管理の観点から複数の取引所を利用することが推奨されます。万が一、1つの取引所がハッキング被害を受けた場合でも、別の取引所に資産を分散しておくことで、被害を最小限に抑えることができます。
また、複数の取引所を利用することで、流動性が高い取引所を選択することができ、取引手数料やサービス内容も比較することができます。資産を分散することは、リスク管理の基本です。
秘密鍵は、仮想通貨ウォレットの管理において最も重要な情報です。秘密鍵が第三者に知られると、仮想通貨が不正に送金される危険性があります。そのため、秘密鍵は必ず自分だけが保管し、決して他人に教えないようにしましょう。
秘密鍵を安全に保管する方法として、オフラインでの保管やパスワードで保護された安全な環境での管理が推奨されます。ハードウェアウォレットなどを利用して、秘密鍵を外部から切り離しておくことも有効な手段です。
最後に、セキュリティの高い取引所について紹介いたします。
SBIVCトレード
GMOコイン
bitFlyer
これから仮想通貨を始める方は、ぜひ参考にしてみてください。
SBIVCトレードは、国内最大手の金融グループであるSBIグループが運営する仮想通貨取引所です。
SBIグループの強力なセキュリティ体制を背景に、業界でも高い評価を得ています。取引所では、マルチシグやコールドウォレットを使用して、顧客資産の安全性を徹底しています。また、2段階認証や24時間体制の監視など、セキュリティ対策も万全です。
GMOコインは、GMOインターネットグループが運営する仮想通貨取引所で、セキュリティ対策にも力を入れています。
顧客の資産をコールドウォレットに保管し、マルチシグやSSL暗号化通信を採用しています。さらに、同社は、独自のセキュリティ教育プログラムを実施し、ユーザーにもセキュリティの重要性を啓蒙しています。
bitFlyerは、セキュリティ面で優れた取引所として知られています。
顧客の資産はコールドウォレットで管理され、取引所自体も定期的に外部のセキュリティ専門家による監査を受けています。bitFlyerは、2段階認証やSMS認証、APIキーの管理機能なども提供しており、ユーザーが安全に取引できる環境を提供しています。
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