アバランチ、成果重視の新基盤「Fusion」発表

アバランチは2025年5月20日、HelixおよびFaculty Groupとの協力を通じて、新たなモジュール型ブロックチェーン基盤「Fusion」のリリースを明らかにしました。本プロジェクトは、開発者や事業者が具体的な成果を挙げることを重視したアーキテクチャとなっており、既存の決済中心のブロックチェーンとは一線を画す設計思想を採用しています。

Fusionの特徴は、ブロックチェーンの機能を細かく分割し、個別のモジュールとして開発・導入が可能な構成です。基盤には2層構造を採用し、1層目には「Composer」と呼ばれる複数のレイヤー1ブロックチェーンが展開され、それぞれがAI技術や分散型インフラネットワーク（DePIN）など特定分野に特化してカスタマイズされています。

2層目には、「Composer」の機能を補完する形で、ステーブルコイン、生体認証、クラウドコンピューティングなどの各種サービスを提供する「Module（モジュール）」が配置されます。これらのサービスは、即座に導入可能な「プラグアンドプレイ」型として構成されており、迅速な統合と運用を可能にしています。

各Composerは、開発者向けにAPIやSDKも提供しており、アプリケーションの展開やシステムとの統合、個別タスクの実行が容易です。Moduleは用途別に分類され、特定Composer専用のモジュールと、複数のComposerに汎用的に対応するモジュールが用意されています。また、必要なコンピューティングリソースやストレージ、データ分析といった基本機能も提供され、ワークフローの利用に対して料金を設定できる仕組みです。

Fusionのトークン設計にも革新が見られ、単なる投機的資産ではなく、エコシステム内の調整手段として機能することを目指しています。Composerは、関連Moduleのパフォーマンスを継続的に評価し、その結果に基づいて報酬を分配する仕組みを備えており、持続的な価値創出が可能な仕組みとなっています。

現在、Fusionには既にいくつかのComposerが参加しており、医療分野にAI導入を支援する「Life Network」や、分散型AIプラットフォーム「Kite AI」、さらにはDePINリソースの強化を図る「Tayga」などが稼働しています。今後はさらに、現実資産（RWA）や分散型金融（DeFi）を対象としたComposerの導入も予定されており、QuickNodeやSpace and Timeといった技術パートナーと連携し、高機能なモジュール開発も進められる見通しです。

このように、Fusionは従来型ブロックチェーンの枠を超え、実用性と柔軟性を両立した次世代のブロックチェーンエコシステムとして注目を集めています。

（参考）アバランチ、140億円規模の新ブロックチェーン環境「Fusion」リリース