トランプ新政権、NY検事局の仮想通貨訴訟を縮小へ

ニューヨーク南部地区連邦検事局は、トランプ新政権の発足に伴い、仮想通貨関連の訴訟を縮小する方針を明らかにしました。証券・商品詐欺対策チームの共同責任者スコット・ハートマン氏は、15日に行われた会議で「私たちはかつて、仮想通貨の冬の時期に多くの大規模な訴訟を提起しましたが、現在では規制機関がこの分野で活発に活動しており、当局のリソースも限られています」と述べました。

この背景には、ドナルド・トランプ次期大統領のもとで司法省が移民法の厳格な取り締まりを重視する方針が影響していると見られています。トランプ氏は選挙戦でも、不法移民の取り締まり強化を政策の柱に掲げており、この方針が司法省の優先事項に反映される形となっています。

ニューヨーク南部地区はこれまで、金融犯罪の取り締まりにおいて重要な役割を果たしてきました。2022年以降、FTXのサム・バンクマン・フリード氏やセルシウスのアレクサンダー・マシンスキー氏に対する訴訟など、仮想通貨業界の大きな不祥事に対応してきましたが、今後はこれらの分野に割り当てられるリソースが減少する見込みです。

さらに、トランプ政権は仮想通貨に対する規制緩和の可能性も示唆しています。新たにニューヨーク南部地区の検事に任命されたジェイ・クレイトン氏は、2017年から2020年までSECの委員長を務め、厳しい姿勢を見せていましたが、退任後は仮想通貨への理解を深める姿勢に変化しています。今後、ビットコインETFの承認や仮想通貨関連の立法にも積極的な関与が期待されています。

仮想通貨市場にとって、シンシア・ルミス議員の「2024年ビットコイン法」など、新たな法案の動向も注目されています。この法案が承認されれば、ビットコインは米国の準備資産としての地位を確立し、国際的な金融市場にも大きな影響を与える可能性があります。しかし、上院での承認には課題も多く、今後の議論が注視されています。

（参考）トランプ新政権下のニューヨーク検事局、仮想通貨訴訟を縮小へ