ウクライナ、仮想通貨課税法案を推進—2025年成立目標

新法案の概要と課税制度

ウクライナ議会は、仮想通貨に関する新しい課税法案の成立を目指しています。この法案は、国立銀行と国際通貨基金（IMF）が共同で作成したもので、2025年1—3月期の成立を目標としています。財政・税・関税政策委員会のダニロ・ヘトマンツェフ委員長によると、法案は現在、第1読会に向けた最終調整段階にあるとのことです。

具体的には、仮想通貨のキャピタルゲイン課税を証券取引のモデルに準じて実施。資産が法定通貨に変換された際に利益に対して課税されます。個人取引には、所得税18%と軍事課税1.5%（合計19.5%）が適用され、法人取引には18%の税率が設定されます。また、すべての取引記録を正確に保管する義務が、個人および法人双方に課されます。

背景と目的

ウクライナはこれまでも仮想通貨の利用を積極的に推進してきました。同国のデジタル変革省は2021年、仮想通貨を活用したプロジェクトの促進や国民教育を目指す報告書を発表。ロシアの侵攻後には、政府や民間団体が仮想通貨による寄付を募り、1億ドル以上が集まった実績もあります。

課税を免除しない理由について、専門家やIMFは「免税措置は市場での脱税を助長する可能性がある」と指摘しています。ウクライナ政府は、仮想通貨の透明性と規制強化を通じて、市場の健全な発展を目指しています。

仮想通貨採用の現状

2024年のチェイナリシスによる仮想通貨採用指標ランキングで、ウクライナは世界6位にランクイン。同ランキングでは、オンチェーン取引量やP2P取引所での活動量が評価されました。経済の不安定化や軍事侵略を背景に、仮想通貨は多くの市民にとって貯蓄保護の手段となっています。

さらに、ウクライナではブロックチェーンを活用したビジネスが活発化しており、国民の間でも仮想通貨の利用が広がっています。これらの動きは、法整備後も持続可能な仮想通貨市場の発展を後押しするものと期待されています。

今後の課題と展望

新法案の成立によって、ウクライナは仮想通貨市場の透明性と安定性を高めることを目指しています。しかし、課税制度が市場に与える影響や、記録保管義務の実効性についてはさらなる検証が必要です。同国が仮想通貨先進国としての地位を維持するためには、法整備と市場参加者の信頼確保が鍵となるでしょう。

（参考）ウクライナ、仮想通貨への18％課税など定める法案　2025年成立目指す